ガリレオガリレイのピサの斜塔の球落下実験についての考察

ガリレオのピサの斜塔の球落下実験は誰もが知っていますよね。ガリレオガリレイの重さの違う同じ大きさの二つの球を同時に落とす実験について考察します。なぜ今更このようなことを始めたかというと、ネット上で嘘八百が蔓延しているからです。今回はガリレオが実際にピサの斜塔で実験を行ったのかどうかの議論はしません。
まず前提条件として以下の二つを提示します。

ネットで散見される意見は次の3つに集約されます。

重さの違う大きさの等しい二つの球を同時に落とすと、

  1. 同時に落ちる
  2. 重い方が先に落ちる
    1. 2-1 重い球の方がかかる力が大きいため
    2. 2-2 軽い球の方が空気抵抗が大きく作用するため

同時に落ちるという意見では慣性力のことを完全に理解できていないが故に誤った考えを持ってしまっているようです。というより学校などで盲目的に「同時に落ちるんだ!」と教えていることが原因なのでしょうね。重い方が先に落ちるという意見では二つの理由が主張されています。結論からいうと2-2が正解です。

ここでわかることが、空気抵抗と慣性力の関係の理解の違いで意見が分かれている点です。

事実として「空気抵抗は形状に依存するため同じ大きさなら空気抵抗による抗力は等しい」は真です。正確に言うと空気抵抗による抗力は形状や流体密度や速度に依存します。二つの球にかかる力が同じだからといって考えなくていいというのは間違いですよね。

これを理解するには微分方程式を解かなければならないため、あまり理解が進まないのでしょう。微分方程式を差分化し解析的に解いた結果を下のpdfで示します。

galileo.pdf

今回はあえて立式し解くことで空気抵抗の寄与を明確に示しましたが、イメージだけでも簡単に理解することができます。例えば一辺が10cmの箱を二つ想像します。その箱は一つは紙でできていて中は空っぽです。またもう一つの箱は鉄でできていて中はぎっしりと鉄が詰まっています。
さてここで箱に息を吹きかけるとどうなるでしょうか。当然紙の箱は飛んでいき、鉄の箱は動きもしません。「両方の箱にかかる抗力は等しい」けれど、一方は動いてもう一方は動かない。これからも軽いと抗力の影響を受けやすいのがよくわかると思います。

結論「空気中で重さの違う大きさの等しい二つの球を同時に落とすと重い方が先に落ちる」

記事を書いた日 2013年 7月

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