図面上の高さを示す表記・記号の意味の説明
図面を書く読む上で大切なのが、高さの基準と記号です。
高さ表記・記号が多々あり、図面によって表現の仕方が様々です。それぞれの図面の高さを示す表記の意味と、その基準を下記にまとめました。
- <定義が図面作成者によって違う高さ表記>
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- GL(Ground Level)
- 地表面の高さ。GL±0は場所によって定義が違うため注意が必要。
- FL(Floor Level)
- 床面の高さ。FL±0は場所によって定義が違うため注意が必要。
- EL(Elevation Level)
- TPからの高さ(標高)。本来は標高を示す記号であるが、古い図面などでは単に『高さ』の意味として使われていたりする。GL、FLと同様に定義は図面によってまちまちだったりするため注意が必要。
- <定義が統一されている高さ表記>
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- TP(Tokyo Peil)
- 東京湾平均海面の高さ。一般的な標高とはこの高さからの寸法を言う。(正しくは楕円体高=ジオイド高+標高である。)
- DL(Datum Line)CDL(Chart Datum Level)(気象庁)(海上保安庁)
- 潮位の観測基準面の高さ。基本水準面。湾によって高さが違うため注意。〇〇湾CDLなどと使えばOK。
- N.L.L.W.L(Nearly Lowest Low-water Level)
- 略最低低潮面、最低水面の意味。海図の海の深さはこれからの深さ
- 楕円体高
- 地球をとある理想的な楕円体としたときの面からの高さ。楕円体はいくつもモデルがあり、日本はGRS80を採用している。
- MSL(Mean Sea Level)ジオイド(Geoidal height)
- <追加補足情報の高さ表記>
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- TOP(Top Of Pipe)
- 配管上面の高さ。他高さと合わせて使用する。例:GL+500 TOP など
- COP(Center Of Pipe)
- 配管中心の高さ。他高さと合わせて使用する。例:GL+500 COP など
- BOP(Bottom Of Pipe)
- 配管下面の高さ。保温・サドルは基本含まない。他高さと合わせて使用する。例:GL+500 BOP など
- TOS(Top Of Support)
- 配管架台の上面高さ。保温・サドルなどがある場合にサポート高さを指定するときに使用。他高さと合わせて使用する。例:GL+500 TOS など
- 梁天
- 梁の上端の高さを示す。鉄骨図立面等で縮尺の関係上、寸法線がどこを指しているか不明瞭な場合に使用する。例:GL+3000(梁天)など
- 梁芯
- 梁の中心の高さを示す。鉄骨図立面等で縮尺の関係上、寸法線がどこを指しているか不明瞭な場合に使用する。例:GL+3000(梁芯)など
- 床天
- 床の上端の高さを示す。鉄骨図立面等で縮尺の関係上、寸法線がどこを指しているか不明瞭な場合に使用する。例:GL+3000(床天)など
DLとCDLの違いとは
基本水準面を示す表記にDLとCDLが使われております。そもそも「datum」の意味は「基準線や面」で、「chart」の意味は海図です。直訳すると「datum level」は基準面高さ、「chart datum level」は海図用基準面高さです。DLとCDLの違いを調べていると、どうやら行政によって使い方が違うようです。
DLとCDL
使用行政 |
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気象庁 |
DLを潮位の観測基準面の高さとしている。 |
国土交通省国土地理院 |
験潮という潮位を測定する作業を行っているが、CDLもDLも使用していないようである。しかし気象庁がDL、海上保安庁がDL,CDLと呼ぶ「観測基準面」を、国土地理院では「Local Reference Datum」と呼んでいる。 |
海上保安庁海洋情報部 |
基本水準面の意味でDLもCDLも使う。(過去に最低水面の意味でDLを使っていたが、そのページは削除されたようである。)今は最低水面=略最低低潮面(NLLW:Nearly Lowest Low Water)としているようだ。参考「海洋情報部研究報告第57号平成31年3月28日諸外国の事例にみる鉛直基準面モデル構築の取り組み」
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DL=CDL=基本水準面と、使い分けは無くしてしまうのがいいかもしれませんね。
海関連は潮位が変化するため、深さ関連の用語が多く非常に厄介なので注意が必要です。
海の深さを表そうとすると、深さ0の基準が必要となります。じゃあその0を決めるのに、とある基準(どこかの地点にある金属標など)から下に1mと決めるわけです。
これを用語を使って言うと
海の深さを表そうとすると、深さ0の基準「最低水面=略最低低潮面(NLLW:Nearly Lowest Low Water)」が必要となります。じゃあその「最低水面」を決めるのに、とある基準「CDL=DL=基本水準面」から下に1m「海保の定めるZ0という数字」と決めるわけです。
ここで気を付けなければいけないのはCDLもDLもZ0も場所によって違うということ。A港は△△金属標をCDLとしてるけど、B港は○○金属標をCDLにしてるなんてことなわけです。Z0も場所によって値は違います。
記事を書いた日2017年9月
文責 ellery459
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